31日で閉店する戸田書店前橋本店(前橋市西片貝町)

 群馬県内で新刊書籍を扱う書店のうち、小規模店舗を中心に10年間で約4分の1が閉店したことが、書店や出版関連の組合でつくる日本出版インフラセンター(東京都千代田区)のまとめで分かった。本県の書店事情は、大型店への集約化と商業施設への出店で様変わりしつつある。31日には中規模総合書店の戸田書店前橋本店(前橋市西片貝町)が閉店する。関係者は「『1地域1書店』が現実化しつつある」と県内の今後を予想する。

 同センターによると、県内の2023年6月時点の書店店舗数は192店で、13年6月の251店と比べ23.5%(59店)減少した。全国の書店は23年6月に1万1219店となり、この10年間で3割減った。このうち経営環境の厳しい個人経営などの小規模店(100坪未満)は、減少幅が4割弱と最も大きかった。書店離れの背景には、インターネットの普及と通販サイトの利用拡大が指摘されている。

 前橋市の戸田書店前橋本店は31日で閉店する。一般書から専門書まで幅広くそろえる中規模の総合書店で、1999年の開店以来、地域に根差していた。運営会社によると、通販サイトの普及に加え、市内の商業施設や駅前の大型書店に客足が流れ、経営状況が年々厳しくなっていた。

 10年以上通う会社員の男性(58)=同市三俣町=は「蔵書数は大型書店に負けるかもしれないが、書店専門店の品ぞろえで、興味を引く本と偶然出合える良さがあった。立ち寄りやすく、静かに本を選べる店だったのに…」と残念がる。